時は第二次石油ショックの翌年。日本経済は資源、物価の高騰の余波が色濃く残る混乱した状況にありました。そんな中、維新発祥の地山口で小さな給湯器メーカーが誕生しました。私たち長州産業です。混沌とした状況にも関わらず製造会社を立ち上げたのは、蛮勇とでも評すべき行為だったかも知れません。この時、創業の原動力となったのは純粋な思いでした。~風呂好きな日本人がふんだんに使えるお湯を供給したい~この思いを原点に、長州産業は一歩ずつ着実に技術を磨き、時には果敢に新たな分野へ挑戦を続けていきました。そして今、長州産業は住宅エネルギー機器、真空プロセス装置・サービスなどを総合的に提供する企業へと成長を遂げました。
創業当時と時代背景は異なりますが、現在の私たちを取り巻く環境においても、地球温暖化の進展や新興国経済の発展による資源需要の底上げなど、長期的なエネルギー供給の制約が大きな課題となっています。長州産業は、太陽光発電の普及によりこうした環境・エネルギー制約の解消に貢献できないかと考えました。1998年に太陽光発電システム事業に参入すると、半導体製造装置の開発で培った技術を活かし、太陽電池セルの原料となるウェハーからモジュールまでの国内一貫生産の体制を矢継ぎ早に構築しました。後に、蓄電システムの開発にも取り組み、事業の柱の1つとなっております。
もう一つの基幹技術である真空プロセス装置の開発・製造の源流は、創業4年後から立ち上げられた半導体装置のメンテナンス事業に遡ります。当時は日本の半導体業界の成長期。大手メーカーが国内生産能力を増強し新たな協力企業が必要とされていました。当然ながら、給湯器メーカーである長州産業は半導体事業についてのノウハウは全く有していませんでしたが、この事業の将来性を確信し、わずか60数名の社員から6人の精鋭エンジニアを送り出し技術を学ばせたのです。不退転の決意で臨んだ精鋭チームは短期間で技術を習得し、当社の真空プロセス事業の礎を築きました。メカトロニクスを始め、高度な成膜技術である蒸着、スパッタ技術を磨き、半導体や液晶ディスプレー、さらには有機EL生産の隆盛と共に成長し、世界市場に進出しております。
太陽光と真空装置で培った技術を生かし、水素エネルギー事業を立ち上げました。太陽光で作った水素で車を動かす。右も左も分からぬ水素業界でそんな理想を掲げ、国内初の実証機SHiPSを立ち上げました。水素社会の実現に向けて一歩ずつ前進していきます。
新たな試みを恐れず、果敢に飛び込んでいく。それが長州産業の遺伝子であり、私たちの社名には、「世の中を良くしたい」という維新の先達の志を引き継ぐという思いが込められています。これからは、例えば太陽光発電と蓄電技術を融合した最適なエネルギー・マネジメント、あるいは水しか発生しないクリーン技術の水素エネルギー。当社は次世代技術の実用化、普及をリードしていきます。
原点を忘れず、一歩ずつ果敢に。私たち長州産業は挑戦を続けます。
取締役社長